食後高血糖/血糖値スパイクとは
最近、テレビ番組でも「食後高血糖」とか「血糖値スパイク」が取り上げられるようになり、健康マニア系の方なら、食後眠くなったり、倦怠感を感じる原因としてご存知の方も多いかもしれません。
糖尿病は、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きが不足し、慢性的に高血糖状態が続く病気出そうで、放置すると全身の血管が傷つき、失明(網膜症)、腎不全、心筋梗塞など重大な合併症を引き起こすため、生活習慣の改善や治療が必要です。
一方、糖尿病になっていない人でも、食後は長く血糖値が高い状態になっている人もいて、食後高血糖として話題になっています。食事をすると血糖値は高くなり、2~3時間以内に正常値に戻るのが一般的だそうですが、食後高血糖の人では、食後2時間経っても血糖値が140mg/dL以上と下がらず、血管に負担をかける状態が続きます。
この食後高血糖、健康診断で測定されている空腹時血糖やHbA1cからは見つかりにくく(HbA1cは高めになってはいる人が多いと思われるが)、ちゃんと調べるには空腹時ではなく食べた後の血糖値を測る必要があります。調べる方法としては①病院・クリニックに行って経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)のような検査を受けるか、②リブレ2など市販されている血糖測定器で自分で測ってみることができます。②だと、血糖値を下げる唯一のホルモンである「インスリン」がどのくらい分泌されているかは調べられないので、HbA1cが高めで気になっている方は、一度糖尿病専門のクリニックに相談してOGTTを受け、食後の血糖値だけでなくインスリンの分泌状況などを把握してみるのも良いかもしれません。
私は医療従事者ではないので正しく詳しい説明は専門家にお任せしたいと思いますが、健康診断で糖尿病と診断されないけど食後高血糖の人は、そうでない人に比べて心血管系疾患のリスクが高いことが日本のコホート研究でも示されており、食後高血糖を抑えるような管理が重要であると言われています。
(参考リンク)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-086
https://disease.jp.lilly.com/diabetes_dac/diabetes/hyperglycemia
日本人は糖尿病/食後高血糖のリスクが高い
私たちの体の中で、血糖値を上げるホルモンはアドレナリンやグルカゴンなど複数存在しますが、血糖値を下げることができるホルモンは、膵臓から分泌される「インスリン」のみです。
食事から摂取した糖質は、インスリンの働きによって細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。このシステムが機能することで、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)は一定の範囲内に保たれています。
血糖値が上昇する主な原因は、大きく分けて2つあります。一つは、インスリンの分泌量そのものが不足したり、分泌のタイミングが遅れたりする「インスリン分泌不全」。もう一つは、インスリンは出ているものの、筋肉や肝臓などの細胞が糖を取り込む反応が鈍くなる「インスリン抵抗性」です。
この「インスリン分泌不全」や「インスリン抵抗性」は長年の食生活や運動不足などの生活習慣などで悪化していきますが、実は、日本人を含むアジア人は、もともと遺伝的にインスリンを出す力が弱い人が多く「インスリン分泌不全」になりやすい人が多いと言われています。特に、糖分を摂取した直後にインスリンを出す「初期分泌」の能力が遺伝的に低いと言われており、これが前述の食後高血糖になりやすい原因の一つであると考えられます。
ちょっとびっくりした科研費研究の報告では、一般の女子大学生412名に経口ブドウ糖付加試験(OGTT)を実施したところ、30.3%に耐糖能異常が認められた(食後高血糖の状態があった)とのこと!!
血糖値が高い!というと、太った高齢者の問題と思いがちですが、実は遺伝的にインスリン分泌能が低い人が多い日本人では、若い頃から注意が必要な人もいるというのが示唆されます。それどころか、痩せている女性は標準体型の女性よりも耐糖能異常が多いという報告もあり、詳細は別途書いてみたいと思います。
(参考文献)
*[1] Kodama S, Fujihara K, Ishiguro H, et al. Ethnic differences in the relationship between insulin sensitivity and insulin response: a systematic review and meta-analysis. Diabetes Care. 2013;36(6):1789-1796. doi:10.2337/dc12-1235
30代で発覚した低いインスリン分泌能
なんでこんなことに私が興味を持ちまくっているかというと、30代の頃に自分のインスリン分泌能が低いことを知ってしまったからです。多分35歳くらいの頃、仕事で糖尿病学会に参加しており、昼食にカレーを食べた後、学会に出展されている血糖測定値を作っているメーカーさんのブースで気軽な気持ちで血糖値を測定したところ、予想もしていなかったのですが、200 mg/dLという高い数値が出ました。一緒にカレーを食べて測定した同僚は130 mg/dLとそれほど血糖値が上がっていないのに!!
心配になり、糖尿病専門医の先生に相談して75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施したのですが以下のような結果に・・・
30分後血糖値: 約215mg/dL (記憶曖昧)
2時間後血糖値: 128mg/dL (140mg/dL以上で食後高血糖)
インスリン分泌指数: 約0.35(0.4以下は分泌能の低下を示唆)
24歳でロッククライミングと出会ってからは週3以上運動しており、人生通して適正体重をオーバーしたことは一度もないのに、どういうこと!?多分、当時はBMI 19、体脂肪率18%くらいで「アスリート体型」と言って問題ない体型でした。
医師からは「血糖値は大丈夫だったけど、インスリン分泌は糖尿病型と言っていいくらいだねー。これは遺伝もあるからしょうがないです。運動をやめると糖尿病へ移行するリスクがあるから今のまま良い運動と食事を続けてね」と言われ衝撃を受けました。ただ、女子大生の研究報告を考えると日本人では元々リスクの高い人が多く、自分がレアケースというわけでもないのかもしれません。
そんなわけでリブレ2始めました
それから10年以上の時が流れて47歳。きっかけは糖尿病とは全然関係のないことでした。
長年、そうだろうなーとは思いつつも放置していましたが、会社の人間関係などがうまくいかなくなってメンタルクリニックに相談したところ
「ADHDですね。アトモキセチン飲んでみますか?」
と言われ、やっぱりそうか、と。
試しにアトモキセチンを飲んでみたところ、アルコールの不必要な摂取が抑制され、脳のザワザワも落ち着いて生きるのが楽になったので継続することにしました。全て良い方向に向かったのですが、なぜかクライミングなど激しい運動をしたあと、脳がカッカするような感じと口の渇きがあり、「これ、もしかして血糖値か血圧上がってる?」と思う節があったので、以前から興味があったリブレ2という持続グルコース測定器を試して、日常の血糖がどうなっているかを測定してみたのでした。
その結果、
- アトモキセチンを飲んで90分後くらいに食事をすると、グルコース値が急上昇(Max 240)
- クライミングで強傾斜を登るような運動をすると40 mg/dLくらい上昇
- コーヒーをブラックで飲んでも30 mg/dLくらい上昇
と変わった血糖値の動きをすることに気付かされました。
それだけでなく、糖質の多い食事で血糖値が乱高下していることが明確にわかり、「これは食生活改善しないとなー」と思い、リブレ2で測定しながら食事の影響を測るN=1の実験生活に突入していくのでした。

(こちらはアトモキセチンを飲んで90分後にごはんを食べたところ、血糖値爆あがりした日。確かに押し寿司食べたけど、お寿司食べる前にに豆腐サラダ食べたし、そこまで上がる?と思って驚愕しました。リブレ2試しておいて良かった。)


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