ガリバー旅行記

《ゆ》
5月15日(日) Carriage Road Shawangunk, NY
今日は結婚1周年記念日!なので、おじいさんは小川山へ「ペタシマン」狩りに、おばあさんはガンクスへ心の洗濯に出かけました。今回は3児の父カイとその仲間たち。カイは父として会社経営者として多忙な日々を送っていて、現在のクライミングは月1回程度。日本人の奥さんが日本に2か月帰っている間、少しでもアウトドアクライミングを楽しみたい!ということで、2年振りくらいのガンクスへ出かけることになった。
良い季節なのに人が少ないので有名課題達でアップ。その後、エリックとアイザックと合流。本日は私以外全員会社経営者。そして二人はボルダ―&トラッド両方やっちゃう予定で、マット+ギア+ロープ持参!私が両方持っていると、「可哀想なほど荷物を積まれてしまったロバ」みたいになるが、巨人たちだと大したことなく見える。身長190センチが中央値、心意気も体格もアメリカンサイズの3人といると、色んな意味で完全にコビトになった気持ち。「でも日本女子にしてはNot too bad(そんなにひどくないよね)」とか言われておく。
で、カイの本日目標課題「Crouching Dragon V11」。GunksはDowngradingがすごくて、最近でたアプリでは色んな課題がダウングレードされている。この課題もアプリではV10となっていた。どっちで紹介するか迷うけど、辛いアプリのグレードを使用して紹介しようと思う。Crouching Dragonはルーフくらいの傾斜がある岩で、Dragon Turn V9★★★を下部からつなげた課題。見栄え、ムーズのダイナミックさ共に★★★だと思う。
カイは5年振りのトライ。さすがに全然のぼっていなかったので筋肉が衰えており、過去の自分とのイメージの乖離にショックを受ける。昔はDragon Turn V9は毎回できたのになー。今日完登は無理・・・
そういえば最初ジムであった時にカイに「強いねー」と言われ、「うーん昔は強かったんだけどね」と答えたが、カイにも「めっちゃ強いね」というと「うーん、一緒。I was strong」という答えが返ってきた。私は13年、カイは8歳くらいから20年?もクライミングをしている。年数を重ねるうちに年もとり、他に大事なものも増え、もはや「クライミングが一番優先」という生活はできなくなって長い。そんな中、ノスタルジックな気持ちと共に過去の課題をやると、笑っちゃうようなせつない衝撃を受けることもある。それでもクライミングって楽しいから不思議なもんである。

気を取り直して、ルートに向かうエリック&アイザックとお別れし、私のお目当て課題「Art of nothing V8」と「Even lovely V9」のエリアに移動。ここで偶然YojiroとNJのMike, NYのKyleと合流。It’s a small world。最初は★★★のEven目当てで来たが何だかジットリして暗い。一方、Art★★はからっとしてドーンとデカい岩。カイも私も見た目重視派なので、見た瞬間、即Art of Nothing (V8)に決定。面一の薄かぶりで、薄―いカチをつないで最後遠めのガバに一手だす課題。
先程の課題で若干意気消沈中のカイ。さりげなくトライを開始したところ、サックリフラッシュ。強っ!!カイ曰く、「体の筋肉は弱くなってるけど、保持力(指ヂカラ)は残ってる」とのこと。その気持ちよく分かります。私もパワーが激減してるけど、保持力は残ってるみたいで、それで何とかしてる感じです。私は最後の一手が遠くて苦戦したが、巨人が使わないホールド&スタンスを発掘し、コビト課題に変換して完登。
続いてEven Lovely。が、湿りやすいのかなんとなく苔っている見た目でモチダウン&ホールドがスーパーペブリー(Pebble(粒粒)がいっぱいあってジョリジョリ)。Red River Gorgeで親指以外すべての指皮が剥けてしまい再生中の私、ずっと月1回くらいのクライミングで、すでに指皮3%位になっているカイは、ホールドを一瞬持つだけで、モチベーションが激減してしまい、1分くらいでEven Lovely(V9)のトライは終了。皮を育成して出直そう。

他の岩を探索しながら、エリック&アイザックと合流し、最後はアイザックの目標課題「Carajo V11★★★」。駐車場からすぐのシンボル的な見栄えが良いハイボールの岩で、私が見ている限りは日本人が得意そうな課題でおススメ。上部が「New pair of glasses V7★★★」という課題で、下部はよく濡れている&上部が絶対落ちたらダメなV0-1になってるプチメンタル課題。全員なんとなくY花姫はオンサイトするんじゃないかと思ったようで、「Lady’s First」の法則によりY花からトライ。なんとか期待に応えてオンサイト。「絶対一撃せなアカン」的状況だったから登れて良かった。続いてアイザックがCarajoの上部の練習として軽く登る。この時点で指皮0%ながら、私と同様絶対落ちれない状況に追い込まれたカイも当然軽く登っとく。経営者兼父、すなわち絶対怪我したり死んだらダメなエリックは、この間に一人でクレイジーなフリーソロ。「メンタル追い込まれSend-train」もまた楽し。
でCarajoを開始。Carajoはパワー全開のひきつけガストンからのスタート、ハードなトラバースでNewに合流。アイザックは軽く下部をこなすも、比較的簡単なNewの最後で何回か落ちる。「これは途中で酸素が足りなくなってるからでは?」との研究結果から、過呼吸状態にしてからトライ開始する、等の実験を数度試みた。しかし過呼吸で目が回って落ちる、などの失敗により惜しくも完登ならず。
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そんなこんなで日も暮れて、それぞれ鍛えなおして出直そう!と誓って一日を終了。 

飛行機でこれを書きながらビール頼んだら「How old are you ?」と。アラフォーに年齢聞くのは失礼だろ!しぶしぶ「37歳」って答えた私を笑ってた横の乗客にイラっとする。新手の嫌がらせかと思った。そんなガリバー旅行記。

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