家庭の医学クライミング編 ~指の痛みの治し方 其の①~ 

ここ数年、慢性的に痛くなっていた肩の痛みと腰痛を治すため、比較的最近できた近所の整体院に1ヶ月前から通い始めた。そこでは、肩、腰、腕、指など体の各部の繋がりを総合的に診ながらバランスを調整していくような診察を行っている。最初に問診を受けた時、その先生が「痛いところは全部言ってくださいね。」と言っていたのだが、治る訳ないと思っていた指のことは言わず、肩と腰の慢性的な痛みだけを伝えた。通い始めて数回経ったある時、実は指が痛いのだがクライミングやっていて痛いのは当たり前、治るわけないと思ったので言わなかったと言う事を伝えたところ、あっさりと痛みを取り除いてもらえた。その時のことを、この先生が書いているブログがこれ(↓)

『「当たり前」の指の痛みも』
おはようございます!熱血柔整師の落合です!!当院にはフリークライマーの方が来ています!実はその方、何度も指を痛めています。  やるたびに指の痛みは当たり前にな…

まあ隠していた訳ではないが、クライミングをしていたら通常は宿命的に発生するその種の指の痛みを取り除けるなんて思っていなかったので、診てもらうという発想自体が無くて言わなかった。

その施術は、「えっ、それだけ?」というようなやり方で、どうしてそれで痛みが取れたのかもわからない。あまりに拍子抜けして、「俺、本当は最初からそんなに痛くなかったんじゃないか?」と、その時の診察自体をあまり信じられずにいた。その後クライミングジムにも行き、週末には岩場にも行き、指に痛みを感じるたびに教えられた方法で痛みを取り除くことを試みる。

しかし、どうしても取れない痛みがあり、やっぱりあの方法は万能じゃねーじゃん、クライマーの指の痛みなんてそう簡単に治らねんだよ、と思いながら次の予約の時に再度痛みを訴えた。すると、別の方法でそっちの痛みも取り除いてもらう事になった。その時の診療について書かれたブログがこれ(↓)。

http://ameblo.jp/meidaimae-seikotuin/entry-12202721468.html

結構マニアックなことを色々知っている先生。
大病院で行われるような一般的な教科書に載っているような方法ではなく、知られてはいないけどこんな方法もあるんだ、という類の手法を色々研究しているらしく、科学的な根拠があるものだけを採用しているそうだ。元々スポーツトレーナーもやっていて、とにかくスポーツしている人をサポートするのが好き。治らないと思い込んでいるものを何とか自分が治したい、それで診て貰った側が壁を乗り越えていけるなら尚嬉しい、というのが毎度のお話の節々から伝わってくる。

こういう治療とクライミングの場を行き来しているうちに、そもそもクライミングに伴う指の痛みには何種類かあることや、それぞれ原因が違い、それぞれの痛みの種類に合わせた有効な治療方法があることがわかってきた。ただし自分は今、指に致命的な痛みを抱えている訳ではないし、そういう致命傷に対する診察をしてもらっているわけではないので、そういった類の治療方法についてはわからない。

しかし、インドアでも岩場でも、クライミングをしていれば誰でも経験するであろう指の痛みのうち、2種類の痛みに関しては、教えてもらった方法が有効だということがわかってきたので、自分で理解できた範囲で書き残しておくことにする。ちなみに、2年間治らなかった肩の痛みも9割方治って嬉しいのだが今回は割愛。

まず最初に教えてもらった方法から・・・

[痛みの対象①]・特定の指を完全に痛めているとかではなく、クライミングのし過ぎで指が万遍無く痛い。
・靭帯が伸びたとか腱が伸びたとかでは無い。何が痛いのかはわからないがとにかく指が痛い。
・このまま登り続けていると、おそらくどれかの指をマジで痛めることになるだろう、と感じている。
・レストをすれば多少回復するので1ヶ月ぐらい休めば治る気がするが、毎週岩場に通ってしまって回復が悪化に追いつかない。

※この種の痛みは良く観察していると、何も痛くない(フレッシュな)状態で岩場に出かけたとして、本気トライを一回やっただけでも生じている。インドアで登るときも数課題登っただけで生じる。普段は痛みが生じるのを待ってから次のトライをするのかな。

[痛みの原因]・筋肉と皮膚のコーディネーションが悪くなっている。

「筋肉と皮膚?!」と聞いたときは一瞬驚いたのだが、そもそも筋肉と皮膚には正しい位置というものがあるようだ。それは指の筋肉と皮膚の位置についも同様で、この位置がヅレてしまうと力が出なくなるのだそうだ。
例えば指の関節をポキポキ鳴らしただけでコーディネーションが悪くなって、指でフックする力(保持力)は落ちる。実際、その場で「指をポキって鳴らして見てください。」と言われ、その前後で先生と指をフックし合って引っ張り合いを行い、保持力が弱くなることを体験させてもらった。(最後に治してもらいました)

『指を鳴らす、関節を鳴らすと弱くなる(笑)』
このように皆さんどこかの関節を鳴らしてないですか?これ実は力を入らなくさせています(笑)つまり、弱くなってます(笑)弱くなって力が入らない↓安定させる力がない…

また、この話を聞いてから、ジムで登ったのだが、確かに手のひら(指)の摩擦でホールドを止める様な時、その後に痛みが生じることはあるし、これが筋肉と皮膚の位置関係がズレたことから来た痛みだと思うと腑に落ちる。

[治し方]

施術の仕方は写真と解説を見ただけでは伝わらないと思うのだが、一応書いておく。
例えば左手が痛いのであれば、下の写真の1~4の各パートの皮膚の表面を、この順番に青い矢印の方向に引っ張ってやる。手の甲の側も同じ。
自分でやる場合、①をやるなら単に両手を合わせて、両手の摩擦により右手を下に下げることで表面の皮膚を下に引っ張ってやるだけ。これを2,3,4もやってやる。
最後に、3番目の写真の手のひらに黒く丸で囲んであるところに右手の人差し指と中指の二本指を添えて、
左手でグーパーを繰り返すだけ。
手のひら1腕2    手のひら3

ちなみにキネシオテープで行う施術も、狙いはこれと同じらしい。キネシオテープはテーピングの様に特定の部位に
ぐるぐる巻くわけではなく、太ももだとかにペタッと張るだけ。あれに何の意味があるのだろうと思っていたのだが、キネシオも皮膚と筋肉のコーディネーションを調整するために張られるものなのだそうだ。

[治し方について注意]岩場では手が汚れていたりチョークべっとりだったりするので、両手を合わせても摩擦が生じないから、この方法が使えない。しかし、表面の皮膚を↓方向に引っ張れるなら、どういうやり方でもいいと思う。
とにかく、皮膚と筋肉には正しい位置関係と言うものがあり、それがズレて痛くなっているので、それを治す!という意識を持ち、反対の手を使って皮膚の位置を↓方向に動かしてやれば、痛みが取れてくる。

[指の筋肉と皮膚のコーディネーション VS 保持力の低下 余談]

この治療を受けた後に、小川山にボルダーをやりに行ったのだが、石の魂をセッションしている時に、ある人がいつもは落ちないところでポテッと落ちた。その人の仲間は「足が滑ったんだね。」と言ったのだが、その方は
「足はちゃんと乗ってた。何で落ちたのかわからない。」と言って首を傾げていた。仲間は更に続けて「足が滑ってる様に見えたよ。」と繰り返していたが、本人は「いや違う」と言って納得していなかった。

多分これ、同じ課題を繰り返し打っているうちに、手のコーディネーションが悪くなって保持力が落ちていたのだと考えるとつじつまが合う。足が滑って落ちた様に見えたのは結果であって、本当の原因が「指の筋肉と皮膚のコーディネーションが悪くなった結果保持力が落ちた」のだと考えれば説明が付くように思えた。

長くなったので、2つ目の痛みと施術方法については、また別の機会に。

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