疲労の正体

最近面白い記事を読んだ。
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/16/031800011/062400010/

日経グッデイの会員(無料)にまでなって全部読んだ結果を要約すると、以下の通りの内容だった。

・運動時の疲労と精神を使う作業(頭脳労働)による疲労は同じもの。
・運動時に起こる疲れは運動で酷使しているはずの筋肉の疲労ではなく、多くは脳の疲労。
・運動を続けていると自律神経に疲労が溜まり、あたかも筋肉疲労を起こしたかのようなアラームを発して運動をやめさせようとし、それが筋肉の疲労として感じられる。
・一部の激しい運動を除いて、自転車こぎやジョギングなどの有酸素運動を4時間程度やった程度では、筋肉はほとんどダメージを受けない。
・疲労を回復させる唯一の手段は睡眠。
・何時間寝たかよりも質が重要。

この記事を読んでいたら、これまでのクライミングを通して常々疑問に感じてきた以下(1)~(6)の謎が解けてきた。

(1)
岩場についてアップした直後の、最も疲労が少なく一番フレッシュだと思われる時に登れないのに、二連登の最終便や3日目の4便目でRP出来てしまうのはなぜか?

(2)
肉体を使わない労働で主に精神的に疲れているだけの時にジムに行くと、調子が悪い気がすることがある。仕事の疲れはクライミングに関係するのか、それともただの気のせいなのか。

(3)
14クライマーの激強M君が、1トライ毎に1時間寝て3日間のツアーで毎日15時間寝ていたのは強さと関係あったのか?

(4)
外岩に複数人のグループで毎週車でやってくる場合、毎回運転してくる本来一番疲れている筈の人が一番強いのはなぜなのか?(これ、仮設の立て方がそもそも気のせいかも)

(5)
大昔のロクスノで、クライミングを必須にしているある外国の学校で、学業とクライミングの成績が99%比例していると書かれていた。(←うろ覚えです。)学業を、仕事やそれに相当する何かに置き換えたとして、仕事を責任を持ってよくやっていると思われる人が、クライミング でも強い傾向にあるのはなぜなのか?(これも気のせいかも)

(6)
マラ岩のロッキーロードを始めてトライした時(マスターで)、1回トライしただけで精神的に 疲れ切りその日はその1回しかトライできなかった。1日に使える精神力の量は決まっているのか?ロッキーの最初のトライではその70%ぐらいを使ってしまったという事なのか?そうだとして、なぜロッキーの最初のトライではなぜあんなに消耗したのか。

以下は、(1)~(6)に対する自分流の解釈、っていうか多分そうだ、いや間違いない。

(1)
2日目の4便目の前とかで筋肉が疲労している様に感じている時、実は体の方は疲れていないのでその前に30分ぐらい仮眠を取れば問題なく登れるということ。ちなみにいわゆる最終便で登れる時は、何か吹切れて無心になれた時である事が多い。無心になった時は脳が体に歯止めを掛けることがないので、本来持っている力を維持出来てそのままRP出来てしまうってことじゃないだろうか。

(2)
仕事の疲れはクライミングに影響するって事なのでしょう。ジムでいつもより登れない時に、実力が落ちてるなどと無駄に心配する必要はなく、仕事の疲れが影響していると考えればいいんですね。ちゃんと寝て自律神経の疲れが取れた後に来れば登れるってことでしょう。

(3)
強さと睡眠は、関係あり。サラリーマンクライマーのそこそこ強い人はみんな岩場で寝てる。やっぱりあれ重要なんだ。ちなみにYイカはその次元を超えた抗精神疲労強度を持っているので、ここには該当しません。

(4)
土日に外岩に行く場合、金曜日まで仕事してるのに土曜の朝5時に起きて時間通りにみんなを迎えに行き、3時間掛けて岩場まで運転していく。運転では結構神経すり減らすし本気トライを1回か2回するぐらい疲れるのに、クライミングで強い人はたいがい自分で毎回運転して来たりする。毎週やってるうちに、その分の精神疲労耐性も強くなって、それがクライミングの強さに出ているんじゃないか。ギリギリの状態でも脳が体に歯止めを掛けたりせず、限界で体を動かし続けるための神経が運転で鍛えられている?

(5)
(4)と同じで、仕事や勉強もしくはそれに相当する何かを続けるのが強い人は、精神的な負荷による自律神経の疲労に対する耐久性が強い。この耐久性はクライミングにおいて身体的にギリギリの状況で自律神経を働かせ、脳が体に歯止めを掛けずに動かし続ける能力と同じものと考えられる。なので、勉強や仕事あるいはそれに相当する精神力を酷使する作業に強い人はクライミングも強い。
 
(6)
ロッキーロードを初めてトライして降りてきた時は、精神的に疲労して動けなくなった。地上20mくらいの所からスタートし、しょっぱなから厳しいムーブを要求されるし、上部のスラブもかなりしびれる。あのルートのあの状況にさらされれば体は本能的に危険を察知して反応してしまうし、神経はずっと張りつめた状態だろうから精神的な疲労が、3回のトライに匹敵するほど溜まったんだろうな。しばらく寝て自律神経を休ませれば、もう一回ぐらいあトライできたのかも。

なんか、この記事書いてたら精神的に疲労してきた。ってことで、今週末はYイカ様のご実家から送って頂いた梨を食べて疲労を回復させるのでした。
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鳥取産「20世紀梨」

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