アメリカ生活にまつわるエトセトラ (前編)

≪ゆ≫
「US生活エンジョイしてますね!うらやまー」と、よく言ってもらっているが、毎日そんなに良いことばかりじゃない。むしろ、うまくいかなくて悲しくなることが85%くらいで、ときどき良いこともある、といった匙加減だったりする。これまでブログには残りの15%のことしか書いていないので、今回は超うまくいっていないUS生活について書こうと思う。

無鉄砲なのに心配性な私は、アメリカに来る前から英語>文化の違い(性格)>食事>運転の順番で、色々うまくやっていけないんじゃないか懸念していた。だから一生懸命英語の勉強したつもりだし、文化についても学ぶように努力したし、ダシの素とか持ってきて、色々準備をしたつもりだった。しかしふたを開けてみると 運転≫性格≫英語≫乾燥≫≫食事(ほぼゼロ)で大変なことがわかった。

まず食事。外食していると結構つらい。外食は美味しいこともあるけど消化酵素の都合上、週1回が限界。スナック、パイ、マフィンといった加工品は普通に買うと厳しいものが多く、日本のコンビニスイーツクラスを得るには、相当良い店を選ぶか高い金をはらうしかない。そんなわけで自炊するか、自然物(ドライフルーツみたいなもの)を買うようになる。色々試した結果、「おにぎり・筑前煮・豆腐の味噌汁」、「キヌアサラダ・ターキーサンドイッチ・リンゴ」、「オーブン温野菜・アボガド・パン」「トマト海鮮パスタ・温野菜サラダ」、「ごはん・中華系炒め物・スープ」、「おやつはドライフルーツとナッツ、ヘンプシーズ」、といった食生活をローテーションするのが食事を楽しむコツだとわかり、現時点ではかなり満足している。日本よりキッチンが充実しており、全ては食器洗浄機に突っ込めばいいし、オーブンが気軽に使える。いつまでも腐らない豆腐とか2週間もつ肉とかは保存料とか添加物が怖くてぞっとするが、Organicのお店に行けば結構よさそうな食材も手に入る。その他、皮蛋からインドの香辛料、干しシイタケや香菜まで多民族の食材が安く手に入るので、自炊すると決めれば日本より良い生活が送れるかもしれない。新鮮な魚、特に青魚は手に入りにくい。
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のり、梅干し、絹豆腐、ネギ、干しシイタケとか手にはいります。

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干物もオーブンでチーン。肉も野菜もオーブンにいれるだけでOKなので、料理、、とは言えないけど簡単に自炊できちゃう。

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日本だと、みんな可愛いお弁当作ってるので、恥ずかしくて持っていけないけど、アメリカならタッパーに汚いごはん2食分入れて持って行ってもOK!というわけで100%自炊になってます。

次に予想してなかったけど、かなりつらいのが乾燥。エアコンのせいか室内はカリカリ。鼻毛がほとんどない私は、鼻粘膜が直接攻撃されてしまうようで、鼻血と鼻くそに悩まされている。日本では、鼻くそが完成する前に、鼻水で流れてしまうタイプだったようだが、USに来てから朝起きると鼻がカリカリになっており、鼻をかむと血交じりの鼻がでてくる。肌もガサガサで、ボディークリームを塗らないと乾燥してかゆくて眠れない。頑張ってクリームを塗っているが、明らかに目のまわりの皺がふえている。アメリカの人は加齢による劣化が早い、とみんな言っているが、私もアメリカに1年住んだら確実にお肌がどっさり劣化すると思う。

「英語」は喋れているとはいえないけど、さすが自由の国アメリカ。いろんな国からいろんな人がやってくるので、アメリカ人は「下手くそな英語」に意外と強い。特に異国の人とよく触れ合ってるひとは職人芸としかいいようがないくらい理解度が高い。英会話ってテニスのラリーのようなもので、こっちがいくら下手でも相手がプロだったらラリーが続いちゃったりする。そんなわけで、会社の中やクライマーとの会話については、自分が成長しなくても周りの人がだんだん何とかしてくれる。ただNon-Native同志の英会話は結構難しい。お互い勘違いするので、何度も確認しないと質問と回答が永遠にばらばらになったりする。
カジュアルなネイティブの会話に入ったり、洗練された文章で書いたり話そうと思うと一気にハードルが上がる。アメリカローカルトークやカルチャーの話になると、99%わからない。アメリカンジョーク、文学的な感情、哲学的・概念的な話、歴史、音楽、文学、美術、なーんにもわからない。ただその手の話題については、クライミング/仕事を始めてから13年間、それ以外の活動がほぼゼロなため、恐らく日本語で話されても結構わからないし、この辺は一年間では絶対マスターできないので、ちょっと諦めている。

次は性格またはキャラ。これは良いところも悪いところもあり、なのでなんともいえない。まず良いところだけど、日本では、自分は少し変わっているんじゃないか?といつも気にしており、できるだけ普通でいられるようにものすごく気を付けていた。しかし、アメリカには世界各国から人が集まっており、それぞれの個性が強すぎて、自分がふつう過ぎて困っちゃう。日本では、統計上±1SD(中心から68%以内)は無理でも±2SD(95%以内)の人間になりたい、つまり変わっている人5%にはなりたくない、というのが私の長年の夢だった。が、アメリカ人はばらつきが大きすぎて、わたくしなぞは余裕で±1SDの中に入れてしまう。日本にいるとだいぶ変ではみだしちゃう私にすると、アメリカ人の多様性はものすごく嬉しく、人生で初めて解放された気持ちになった。そういう意味ではアメリカにずっと住みたいと思うくらい。

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±SDについてWebから拝借http://www.lesn.appstate.edu/olson/normal_curve.htm

でもこの国の人、ポジティブなんだよねー。私は根明だけどネガティブ思考、非社交的。ポジティブ思考で社交的なアメリカ人とは正反対のため、色々苦痛を感じたりする。朝、「Hi, how are you ?」って笑顔で話しかけられると凄く辛い。エネルギーいっぱいのポジティブな人と話すと、一会話ごとに自分のエネルギーレベルは5%ずつ失われ、夜にはぐったりして動けなくなっている。レジの人も「Hi, how are you ?」と目を合わせて挨拶するので、できればやめてほしいと思う。でも愛想笑いが得意な日本人なため、エネルギーを消耗しながら感じよくする。ガソリンスタンドも「レギュラー満タン現金で!」っていうだけなんだけど、会話するのが嫌すぎてセルフのガソリンスタンドを探してしまう。

こんな非社交的な人間でやっていけるんかいな、と心配になったが、スイス人と話していると「それまでスイスのことそんな好きじゃなかったけど、アメリカに来て、スイスって良い国だなと思うようになった」と言っていた。やはりアメリカ人の無理やりポジティブ思考で薄っぺらい感じや、繊細さがなくでっぷりした感じが嫌みたい。アメリカ人の明るさやポジティブさがつらいのは、私だけじゃないと知り、少し安心した。そして、「朝目が覚めた瞬間から元気なY花が、時々辛い」と言っているコブ氏の気持ちも少しわかった。

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