焚火だ!焚火だ!小川山。

《M》

我が家の多動性動物Y花は、ちょっと目を離していると直ぐに新しい知り合いができ、そうした人々からもたらされる新しい企画をほぼ反射的に実行に移すという、目まぐるしい人生を送る人でもある。GW中盤の4日と5日に、二子山クライミングからの両神山登山という企画が入っていたかと思えば、中一日開けた7日と8日には、珍しい面子から声を掛けられて小川山でキャンプをすることになっていた。最近体が動くようになってきた私もその流れに巻き込まれたおかげで、GWの中後半戦は久々に賑やかな時間を過ごすことができた。

6日の金曜日は、前日の登山の疲労と終わらない仕事のせいで明日のことも考えられなくなっていた私と違い、翌日のキャンプに備えるY花は準備に奔走している。

鍋に入れられる予定の食材

今回声をかけてくれたのは、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで二子山西岳のルートを登り潰しているTKD。本人は救命救急のお医者さんだけど、実家はTKD内科クリニックということで、我が家は去年そこでコロナのワクチン注射を打たせていただいたという縁もある。TKDのパートナーは、十条にあるボルダリングジム、アンダーグラウンド元店長のトニー。私は直接コンタクトしていなかったのだが、去年我々が開拓をしていた時のボルトの入手先がトニーであり、名前はいつも聞いていた。過去には岩場でも数回会っているが、一緒に登りに行くのは今回が初めてだ。クライミングや、他のクライマーに対してとても誠実で、今回2日間過ごした後で私もユイカも一目置くようになった。

小川山では、とりあえず全員マラ岩に行くことになっていたため、スペシャリストをやりにくるEちゃんやぺコマとも合流するし、両神山でご一緒した家ピー達も来るということだったので、夜のキャンプは賑やかになりそうな予感があった。

初日はマラ岩に向かい、JECCにトップロープをかけてもらって遊んでいたのだが、「近くに面白れぇルートがあるんだよ」というEちゃんに連れられて結局「たまご13c」をやりにいくことになった。コルセット付きの私もトップロープで触らせてもらい、全く歯が立たないながらも確かに面白いルートであることを理解した。ただ、背中のボルトを抜いて腰が柔軟に動かせるようになり、さらにリハビリを重ねていかないとスタートラインにも立てない気がする。復活までの道のりは長そうだ。

たまご13cをトップロープでトライする私

たまご13cで遊んだあとはマラ岩に戻り、E様とY花による「がんこおやじ11c/d」へのトライ。E様は翌日直登ラインでRP。


がんこおやじをトライしてがんこおやじ化するE様

エクセレントパワーを見据えてシルクに取り組むTKDやトニーとは対照的に、我が家は完全にエンクラモードに入っており、Y花に至っては心が既に夜の焚火に向かっていて、下山しながら薪を集める姿は、ネギしょった鴨を彷彿とさせる。

Y花はいつでも忙しい

さて、世の中には意味不明に焚火が好きだという人種がおり、私が知っている限りその筆頭はY花だったのだが、この日はそこに猛者が現れた。数日前に第一子が生まれ、この日はまだ面会ができない状況だったため、みんなのいる小川山にやってきた焚火士のぺコマ先生だ。会うのは2年前に私の前でアッという間にスプラッシュを登って駆け抜けて行ってしまって以来なのだが、聞くところによると北杜市在住の彼は、とにかく毎日庭で焚火をしているらしい。その証拠に、車には大量の薪が積んであるだけなく、においがつかないように焚火用のエプロンまで持っており、秒で火を付け、コンパクトに木をくべ肉を焼き始めるまでの手際の良さが日々の鍛錬を物語っていた。

ぺコマ先生による焚火教室

一方、おもむろに「ハンドパン」なる楽器を取り出して美しい旋律を奏で、その場の空気を幻想的なものに変えていくTKD。スイス製の楽器で、日本では教えている人が4人ぐらいしかおらず、その一人から習っているらしい。食材は持ってきてないのに(あっ、我が家の食材ぐらい高い特別なビールを持ってきてみんなに振舞っていました)こんなでかい楽器を車に積んで来て、突然演奏を始めて空気を変えてしまう振り切れ感が素晴らしい。すごくいい音色で、うっとりするような曲をずっと弾いてくれました。これぐらい簡単にギアを入れられないと人生は謳歌できませんね。

そして夜がやってくる。家ピー&ユリピーやアリエッティもやってきて深夜まで花が咲く。みんな火を前にすると素になるんでしょうかね。色んな話が聞けて久々に楽しかったです。

翌日9時まで寝ていた我が家が、焚火現場に出かけたころにはほとんど誰もいなかったので、再び朝から焚火をしつつ、カップラーメンで朝食を取り、その後マラ岩に向かったのでした。

Photo by E様

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