■18日(木)
《旭岳》
5時に起床。旭岳は、まずロープウェイで姿見駅というところまで上がり、そこから実質的な登山が始まるようになっています。北海道の最高峰で百名山に数えられているだけあって、ロープウェイ乗り場の駐車場は広いし、周辺のホテルやビジターセンターなど、受け入れ態勢は万全です。ある意味とても人工的ですが、その裏返しとしてアプローチはかなり安心・安全でした。
って言うのは後から知ったことで、とりあえず「旭岳のロープウェイ乗り場に行けばいんだろ」という感じで旭岳ロープウェイ駐車場に目的地を設定し、朝からドライブを楽しんでロープウェイ乗り場までやって来ました。

ロープウェイ乗り場は標高1100mにあり、山麓駅と言います。ロープウェイの始動時間と終了時間は時期や日によって決まってダイヤが決まっているのですが、この日は6:30amから動くとあって、6時半前にはチケット売り場前に大行列ができていました。往復一人3,500円也。「お金を落とす」とはこういうことかと頷きました。ただで山に入り、好きなだけ登って遊ぶフリークライマーが、地元の人から「お金を落とさない」と言われるのは、こういうものと比較されているのだと・・・
もともと、起きて気が向いたら登山に行こうと思っていましたが、「混むから早めに行った方が良い」「登山はそういうものだから」と聞いて、腑に落ちないまま半信半疑で来たのですが6時半前に着いたのは正解でした。世間の人は事前に情報を収集し、最適解を持って計画的にやって来ており、行きあたりばったりでやって来る私とは行動原理が違うことを如実に感じました。

ロープウェイは10分かけて標高1600mにある姿見駅まで500mも上がりますが、そこから見える景色が既に綺麗でした。前日まで、「登山なのにロープウェイ使うの?」とか思っていましたが、この原生林を高度差で500m上がるのはちょっと大変かも。そういう登山道もあるとは思うのですが、ビギナーはまずロープウェイです。

下が山麓駅なら上は姿見駅。姿見駅には売店があり、さあこれから登山だというところに売店があって、「えっ、こんな感じ?」と少し拍子抜けしましたが、「はい、こういう感じでやってます。」ということのようなので、ならばとトイレをお借りして先に進みます。

まずは、入山届を書くところがあり、人だかりができています。

入山届を記入する机の前には、「あなた方が行くところには、これだけ熊が出ますよー。良いですね?」「言いましたからね!」という、無言の空気を発する熊出没情報マップが掲げられていますが、誰一人抗うことなく入山届に記入しています。「これだけの数の人が登ってて熊に襲われたニュースが出てないんだから大丈夫だろう」「双眼鏡を使ったらそこで熊が見えたというだけなのだろう」という都合の良い判断と、「3,500円も払ったのに、ここで引き返すぐらいなら熊に襲われた方がましだ!」というお金の重みに負け、総合判断の結論として私も入山届に記入しました。

旭岳の登山道は、最初から最後までかなり整備されています。

まず最初に、登山道の左手に煙が上がっている方向に歩いていきます。これは硫化水素などの火山ガスと地下水が熱せられて水蒸気が出たものらしいのですが、そんなことはブログを書く時にAIに聞いて知ったことであって、この時は「煙だー」と思って歩いていきました。

水面に旭岳の姿が鏡のように映り込むことから「姿見の池」というらしく、噴気孔まで散策路ができていますが、登山道からズレるのでそこに行っちゃうといくら時間があっても足りないと思い、そのまま先に進むことにしました。

一人で登山道をテクテク歩き、振り返ってパシャリ。最近運動していなかったせいか、多くの人に抜かれて行きました。特に外国人カップル。昔はこういう時に頑張って競争したりしていましたが、今回はそういうこともなく、マイペースを保ち景色を楽しむことを優先して歩きました。「いそぐべからず」「及ばざるは、過ぎたるより勝れり」です。

1時間半ほどで登頂し、その証に山頂標識を収めましたが時間がたっぷりあるので、ガイドブックと相談し、旭岳~裾合平周回コースを歩いてみることにしました。

最初にロープウェイで上がってきた売店のある所がこの地図の一番下にある姿見駅で、煙が上がっていたところが①の姿見の池。テクテク歩いて、後ろを振り向きパシャリと撮影したのが地獄谷、山頂標識が②です。「いそぐべからず」を良い訳にしてゆっくり登ってきたのが①と②の間ということになります。

②の山頂から③に向かい、山の裏側を下山するようにテクテク歩き、後ろを振り返って見た旭岳がこの写真。頂上の右端によ~く見るとツブツブしているのは山頂標識周辺でキャッキャしている人達で、目を凝らすと山頂からここに至る道に人がちっちゃく映っているので、そのスケールがわかると思います。とにかくひたすら歩くだけ。天気にも恵まれ、右も左もいい景色でした。

間宮岳~中岳間は、右手に直径2㎞の3万年前にできたというカルデラがあったのですが、写真はもういいやと思って撮りませんでした。とりあえず左手を見て「あ~、荒野ってホントにあるんだ。初めて見たかも」と思って写真に収めましたが、とにかくどうでもいい所にばかり目が行き反射的に写真を撮ってしまう私でした。

荒野を20分ぐらい歩くと段々いい景色が見えてきます。

ちょっと左に目を移してもう一枚。こういところをひたすら歩いて行きます。

途中に突如として現れるのが中岳温泉。私を抜いて行った外人カップルの巣窟となっていました。

なので、温泉には入らず先に進みます。抜き返すなら今がチャンスということで・・・。

とにかく長い周回コース。ここからは、日本一のチングルマのお花畑と言われる場所ですが、熊の気配は全くありません。どっちかというと、かなり牧歌的です。

「どうやってこの鉄板運んだんろ?」「車とか入れないし、人力で運んだのかな~」そんなことを考えながらひたすら歩きました。

見渡す限りこんな感じ。チングルマと山の緑が溶けあう景色がとてもいいです。

自然の中に溶け、これまで自分がしてきた、あらゆるを忘れてしまいました。

って言っても、道は全然終わりません。ひたすら歩き、景色に見惚れ、の繰り返し。それがちょっと前の地図にあった④~⑤間の裾合平です。やがて写真のことはどうでもよくなり、とにかくこういう景色を50分ほど歩いて裾合分岐に到着。ベンチがたくさんあったので、持ってきたおにぎりで昼食を済ませ、そこから歩くことさらに1時間半。

途中で韓国人に英語で話し掛けられ、何故か笑いが取れていい気分になり、あともう一枚写真撮っておくかと言って撮った最後の一枚。ここから先も景色の変化があって良かったのですが写真は撮りませんでした。

最後にこの地図にある散策コースに合流し、朝方素通りした姿見の池を近くまで行って歩き周り、ここだけで1時間ぐらい過ごして姿見駅に帰着。
美瑛の景色もすごかったのですが、前日の「過去最高の景色」は、直ぐに更新されてしまいます。普段は登山をしないのですが、「本州の山ってこんなに広いところあったかな~。」「俺が知らないだけ?」って思ったのですが、ここまでの広さがあるところって無い気がします。とにかくスケールがでかくて雄大で、「山のこと何にも知らなかったな~」「北海道のこと何にも知らなかったな~」「もっと北海道のこと知りたいな~」と思わされた山行になりました。

ロープウェイで山麓駅まで下り、売店でソフトクリームを2個食べて大満足。この時点でまだ14時台でした。

山麓駅から3分ぐらいの所にあるホテルベアモンテで日帰り入浴できるということで、温泉に入りました。1040円也。

「あ”~、体が溶ける~」って言いながらチェアーの上で睡眠し、1時間ぐらい居たのですがホテルから出てもまだ16時です。半日しか経ってない。ってことで、旭岳から最も近い景勝地である、羽衣の滝を見に行くことにしました。
《羽衣の滝》
ホテルベルモンテから羽衣の滝の駐車場まで21㎞で約30分。駐車場から羽衣の滝まで歩いて15~20分。雰囲気的には、いつ熊が出てもおかしくない気配を感じ、人もおらず薄暗くなってきたこともあって終始怖さを感じました。景勝地ということだったので行ってきたわけですが、午前中に見た旭岳での景色が凄すぎてイマイチ。

駐車場に戻ると、北海道では見掛けることが珍しい「杉並ナンバー」に何かがヒットしたらしく、私の車を見たオバちゃん3人に声を掛けられ立ち話。話が弾んでしまい、しばらくすると「これから温泉行きませんか?」と、まさかの逆ナンをされたのですが、「今、温泉行っちゃったんですよね~」と丁重にお断りするも、「どこの温泉ですか」と食い下がってきましたが「ベルモンテ」と答えるとそれじゃあと言って去って行きました。熊に対する警戒が溶けず、熊より怖そうなオバちゃん3人に対する警戒はもっと溶けず、やや残念な気もしましたが時間もあるので富良野に向かうことにしました。
《富良野》
羽衣の滝から、美瑛~上富良野~中富良野~富良野に抜ける65㎞のラインは、景色を楽しみにしていたラインだったのですが、既に真っ暗で景色を全く見ることができませんでした。大誤算です。富良野には19時ごろに到着し、久々にラーメンを食べました。

外国に行くと、「俺のソウルフードはラーメンだ!」と言って、急に食べたくなるあれと同じ感覚です。その後は富良野のマックに行って一人で作戦会議。やはり、上富良野、中富良野の景色は見ておきたいのと、目ぼしい道の駅がないのとで、美瑛の道の駅まで戻ることにしました。

普通車は229台停まれる道の駅「白金ビルケ」。NorthFaceのショップもあり、とても広い。夜は星空が綺麗でした。ちなみにビルケはドイツ語で白樺の意味です。
《18日のドライブ日記》

30分でも自然の中でのドライブは楽しいですが、景色の見えない夜のドライブはホントつまらないです。ドライブのやり直しは、人生初のムーブでちょっと迷いましたが、景色を見落としたくない気持ちが勝りました。1日の移動距離としては150㎞。最近の移動距離の感覚で比較すると、ほとんど走ってない感じになっていました。
(つづく)


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