■9月20日(日)
《道の駅 白金ビルケ》
前日と同じ駐車場で朝の5時半ごろに目覚め、周囲を散歩。朝からキツネが道を歩いていました。

「るーるるるるる」

ドラマ「北の国から」の中で、中島朋子扮する蛍(ほたる)がキツネに向かって「る~るるるるる」と言って呼び寄せるのですが、その世界に自分が近づきつつあることを感じさせる朝でした。

午前6時前には活動モードに入り、やることもないので早速「五郎の石の家」に向かいました。
《富良野 麓郷(ろくごう)》

「北の国から」の舞台は富良野の麓郷(ろくごう)という場所にあり、そこに近づくと市街地とは全く違う雰囲気を感じさせてくれます。ナビ通りに行けば比較的簡単に「五郎の石の家」がある敷地の駐車場に到着するのですが、、、

「えっ、ロケ地?」「有料?」「9時半オープン!?」…
GooleMap上に示された通り、「五郎の石の家」がその場所にポツンと建っていて、誰でも勝手に観れるものだと思い込んでいました。石の家を見たら直ぐに十勝に向かい、午後から東ヌプカウシヌプリ山でトレッキングしようと思っていたのですが、大誤算です。立て看をみながら少し頭を整理すると、
1.「ここは北の国からのロケ地で、ロケセットは3つあり、それぞれの場所は離れている。
2.ロケ地とロケ地の間は車で移動すると5分ぐらいで、地図はここに書いてある通り。
3.1か所に付き入場料は500円だけど、全部入場できるパスを最初にまとめて買えば1,200円。
4. オープンは9時半でそれまで誰も来ません。早く来たのに残念でしたね。
ということになりますが、時間を潰す場所もないので3時間は待てません。

それでも、外から何か見えないかな~という人のために、入場しなくても誰にでも見れる形で五郎(田中邦衛の役)の遺言が残っていました。
「金なんか望むな。幸せだけを見ろ。」「ここは何もないが自然だけはある。」「自然はお前らを死なない程度には充分毎年食わしてくれる」「自然から頂戴しろ」
北の国からの最終作の最後に五郎が残した言葉ですから、倉本聰が五郎役を通して世間に伝えたかったメッセージなんだと思います。いつもの私ならいい言葉だな~とか言って素直に共感し誰かにシェアしていたはずなのですが、この時の私は今すぐ中に入れないジレンマと闘いながら「何で入場料を訪問客から頂戴する形になってんのかな~?」という心の声を払しょくできないまま、しばらくそこに立っていました。
とりあえず車でロケ地を3か所回って見てきましたが、どこもしっかり閉まっていて、やはり中には入れません。

麓郷はリアルな田舎であるため朝の6時台に時間を潰す場所はないので、「雰囲気もだいたいわかったからいいや」とロケ地を見たことにして十勝方面に向かう事にしました。

《道の駅 南ふらの》
麓郷からの景色を楽しみながら、十勝との中間地点である南富良野町の道の駅「南ふらの」で休憩。

駐車可能台数こそ84台と少な目ですが、敷地内にバス停があるためか朝から専属の駐車場誘導員がいますし、大きなmont-bellのショップも併設されています。物産店側には、大型水槽になんと!「幻の淡水魚イトウ」が泳いでいました。この地域に生息するようですが、絶滅危惧種です。私が子供の頃、釣りにハマっていた時期があり、日本の淡水魚の釣り方を調べていたところイトウだけ特別扱いされていたのでどんな魚かずっと気になっていました。何しろ当時から「幻の魚」という形容詞が付いていたのですが、子供心に「幻なのになんで図鑑に載ってんだ!?」とかいう、しょーもないところに引っ掛かって記憶に留めていたのです。

「イトウは本当にいるんだよ。幻じゃないよ。」
今なら若い頃の自分に言ってあげられますが、人生万事塞翁が馬。五郎の家を振り切って来て良かったと思いました。で、水槽の隣に置いてあった熊のはく製はいいとして、10時だと言うのに子供向け休憩所周辺には既に10人以上の人がいました。人口2,200人の町に作った道の駅に、朝からこんなに人がいる理由がよくわかりませんが、モンベルの店舗もかなりの大きさで思った以上に人が入っています。

前日の夜の富良野市街地が閑散としていたことを考えるとちょっと不思議な気もします。

店舗の中には、1回1000円で登れる体験用クライミングウォールがあったり、それに見合うだけの商品ラインナップが用意されています。アウトドア用品はかなり充実していて、実物のカヤックが何艘も置かれていました。私はここで双眼鏡を買ったのですが、東川の道の駅といい南富良野町といい、モンベルは良いところに目を付けて店舗を出していると思いました。町の人口より、休日の道の駅を訪れる人の数の方が圧倒的に多いようでした。

朝食としてシカ肉丼を食べ休憩も一区切りついたので十勝方面に向かおうと思いましたが、どうやら目的地の山周辺は雨模様ということで予定の変更を強いられました。この時点で10時半だったので、面倒ですが再度「五郎の石の家」に戻ることにしました。
《鉄道員(ぽっぽや)ロケ地:幾寅駅》
麓郷に戻る前にガソリンを補充しようと思ってガソリンスタンドに行った際、「鉄道員(ぽっぽや)ロケ地直ぐそこ」みたいな看板が目に留まったので足を延ばして行ってみました。


鉄道員(ぽっぽや)という映画(1999年の作品)があり、高倉健が主演で宣伝されてたのは覚えていますが観てはいません。今でもノスタルジーな世界に浸りたいとい気持ちはないのですが、仕事として「原作に基づいたノスタルジーなセットを作る」のはめちゃくちゃ楽しいだろうなと、今回のロケ地のセットを観て思いました。よくできています。
それと、お金を頂戴することなく、誰でも見れるように開放している点が素晴らしかったです。五郎さんの遺言がしっかり守られているようでした。ロケ地、かくあるべきです。
《かなやま湖》
鉄道員(ぽっぽや)ロケ地の幾寅駅から富良野に向かう途中で、「かなやま湖」の標識を観て、吸い込まれるように湖に向かいました。

湖畔周辺の道は、たいてい道路と湖の間に林があるので、ドライブ中は湖の景色がほとんど見えませんが、駐車場があったので停めて散策しました。買ったばかりの双眼鏡をのぞいてみると、湖畔に人がたくさんおり、何らかの水上スポーツをやっている感じでした。その後、テクテク歩いて行くとたくさんのテントを発見。

ここはキャンプ場で管理棟周辺には何十台もの車があり、多くの人がバーベキューの準備をしています。ほとんどの車は北海道内から来ていますが、函館や旭川などのナンバーなので道民にとっては非日常的な場所がこの辺りになり、週末に家族でキャンプをしに来るような場所なのだと推察しました。
かなやま湖は、空知(そらち)川を堰き止めてできたダム湖で、もともと空知川にイトウがいたことから、かなやま湖自体もイトウの生息地になっています。湖の直ぐ近くにある道の駅の水槽でイトウが泳いでいたのもそのためで、キャンパーがいてアウトドア用品の需要もあるからモンベルもある、という構図のようです。
—–
北海道にはマイナーな景勝地や観光スポットがどこにでもあり、行ってみるとそこそこ面白いので私のような人間はスッと心を掴まれてなかなか次の目的地に進めません。富良野で散髪した時の担当理容師さんが、
「本州の人は北海道の広さを舐めてます。北海道は1週間じゃ回れませんよ」
と言っていたのですが、北海道は思っていた以上に奥が深く、楽しめるところが無数にあるという嬉しい忠告だった気もします。「3日で回れる」と考えていた3日前の私は、旅の楽しみ方を知らないだけだったのかも知れません。
—–
《麓郷(ろくごう)までUターン》

かなやま湖周辺を飽きるまで歩き、来た道と別の道を通って麓郷までUターン。麓郷にはランチを食べられるお店が意外とたくさんあります。今回はSALICS CAFEというところでポークジンジャーを食べましたが、美味しかったです。ネットでは評価4.4が付いていますが、私も同じ点数を付けたいです。

入口の牛が目印の、Salics Cafe(写真はネットから引用)
《北の国からロケ地:麓郷》
随分遠回りをしてしまいましたが、麓郷に戻り今回はパスを買って入場しました。これで、心置きなく中を観て回れます。

前日に回った富良野神社や富良野駅だけでなく富良野は市街地全体が北の国からのロケ地になっていたようで、同じ富良野でもカントリーサイドの麓郷が黒坂一家の居住地としてドラマの主な舞台になっており、そこに当時のロケセットがそのまま置かれています。

「人の心を洗う為に、僕は作品を書こうと思っている。」
倉本聰のこのメッセージを見て、ようやく全てが繫がりました。その想いあっての北の国からで、そのために富良野という舞台を選び、これだけのセットを作ったのだと。尚、このポスターの背景にある赤とか青の文字は、倉本氏の作品タイトルであって落書きではありません。

麓郷という場所には、心を洗う舞台としての自然がまだ残っています。

純の家のロケセットの中に張ってあった、「純の手紙(写真は抜粋したもの)」にも、結構面白いことが書いてありました。作家が伝えたいメッセージが先にあり、それを伝えるためにドラマがあり、ドラマの中はでそれが上手いこと隠されているけど、作品を観ている人、読んでいる人には知らない内に心に届くようになっているような気がしました。ロケセットだけ見ててもあまり面白くないですが、伝えたかったメッセージが何かがわかると、こういうロケ地でも楽しめます。

ようやく辿り着けた「五郎の石の家」は、黒坂五郎が最初に建てた石の家という設定なのですが、1989年の放映なので、もう忘れてしまいました。

この家に対する倉本聰のメッセージが立て看板になっていました。こういうのを合わせて読んで行かないと、作品の存在意義はなかなか理解できません。

ここには全国から北の国からファンが来ており、「あれは、純が〇〇したところだよ」「あそこは・・・」「ああ、ああ、そうか!」みたいな感じで当時を思い出しながら楽しんでいる老夫婦が何人もいました。
倉本聰が亡くなったというニュースは9月28日に公表されたので、この時点では知らなかったのですが、実際に亡くなったのは9月18日で、私がここに来る2日前のことでした。一旦は麓郷を振り切った私が、紆余曲折を経てここに戻ってきたのは倉本さんから呼び戻されたのかも知れません。今回のブログ記事のタイトルも、ここから降りて来たインスピレーションがあってのことですので。

五郎様へ
「ネタは自然から頂戴し、金なんか望まず、残りの記事も書き進めて行きたいと思います。」
《富良野~帯広》

ようやく富良野を卒業し、今度こそ十勝に向かうことになりました。道の駅南ふらのに再度立ち寄って休憩したのが16時前。帯広に着いたのは18時頃でした。
《帯広》
帯広名物インディアンカレーは、可もなく不可もなし。
「やよいの湯」は、スーパー銭湯並みの施設で、サウナと露店風呂がついて500円。広い駐車場もいっぱいで大盛況。
車中泊先は、244台も泊まれる巨大な道の駅おとふけ。23時頃にはほぼ満車。
格安の銭湯といい、道路や道の駅の広さといい、色んな意味でゆとりを感じる帯広です。
(つづく)


コメント