《昌也》
7月末にそれまで勤めていた会社を辞め、整理がついて自由な時間もできたので、9月13日~10月2日までの3週間で東北と北海道を車で一人旅して回ってきました。これまで気にはなっていたものの機会がなくて行けなかった所を全部回って来よう、というのが主なモチベーションです。
サラリーマンをやっていると、自分の中に欲求として持ってはいても社会的に求められない事の多くは切り捨てることになります。ユングが言うには(…私の解釈では)、それが積み重なって行くことで少しずつ本当の自分を見失い、40〜50代のどこかで「自分の人生このままでいいのか!」と言った思いが無視できないほどに大きくなり、多くの人がミッドライフクライシスを経験して内面の構造変化を迫られます。最終的に人が自己実現を果たすには、それまでに切り捨てて来た欲求や感性を自分の中で統合する必要があるらしいのですが、仕事をしているとそれを果たすのはとても難しいのが実状です。
今回、周囲に許容される形で仕事を辞められる状況ができたので、その一歩を踏み出す良い機会となりました。一人旅は自分独自の感覚を取り戻すためにあるようなもので、実際「これが自分の取り戻したかった感覚だ」「毎日刺激的過ぎて、もう消化し切れない」と思えるところまで旅を続ける事ができました。最終的な旅の完結は、この記事を完成させることにありそうなのですが、とりあえず自分の追体験も兼ね、行った所を辿って旅先の情報をシェアしてみようと思います。
【行ったところ】
〈東北〉
日光東照宮、石巻、酸ヶ湯温泉、恐山、仏ケ浦、大間
〈北海道〉
函館、美唄、美瑛、旭岳、富良野、東ヌプカウシヌプリ山、然別湖、十勝平野、釧路、厚岸、根室半島、開陽台、トドワラ、羅臼、知床、摩周湖阿寒国立公園、サロマ湖、宗谷岬、稚内、利尻島
どこに行っても、基本的にはドライブや登山、散策などをしながら景色や動物、異文化を見て楽しみ、写真を撮って回っていただけなのですが、それだけでもメチャクチャ楽しかったです。今回車を走らせて思ったことは、札幌を除いた部分こそが本当の北海道なのではないか、ということ。札幌は基本的に日本の主要都市と同じ構造をしているので、ざっくり言うと東京と比べても気候や名物の食べ物が違うぐらいでしかないのですが、それ以外の地域には都心とは全く違う姿をしたとてつもなくスケールの大きい広大な大地、日本とは思えない景色の数々、原生林や動物たちの世界と異文化が残されていました。
びっくりすることも感動することもたくさんあり、「過去最高の景色」は毎日のように更新されていきましたが、各所で見てきた景色はその時々では最高のものでした。今回行った場所を詳細にレポートしようと思えば、全30回シリーズの「北の国から2026 ~セカンドライフ~」が書きおろせるはずなのですが、無職というのは意外なほどに忙しく、そこまでの時間は取れそうにないので旅の記録としてハイライトだけ残しておこうと思います。(それでも結構ありますが)
~旅の記録~
■9月13日(日)
《日光東照宮》
東照宮と言えば徳川家康を祀った神社です。家康が残したとされる「東照公御遺訓」は何年か前から私の座右の銘にしていたこともあり、いつの頃からか東照宮に行ってみたいと思うようになっていました。今回の旅行中も、何度かこの遺訓の「いそぐべからず」を思い出し、逸(はや)る気持ちを抑えて旅を進めることになりました。

東照宮で有名なのは、陽明門や、「見ざる聞かざる言わざる」などの建築や彫刻で、もちろんそれらもじっくり見て回ったのですが、

個人的にはそれよりも、樹齢370年を超える杉の木が敷地内に無数に立っていて、こうした大木の存在が醸し出す雰囲気の方が圧巻でした。1本の木がめちゃくちゃ太い。東京都内はもちろん、山梨とか長野に出かけた時に見る杉の木で、こんなに太い杉ってほとんど見ないというレベルの巨木が、境内やその周辺を歩いていても百本はありそうな感じでした。実はこれらの杉は1625年から20年掛けて植樹されたものらしく、現在はこの地域全体で管理台帳に基づいて約12,000本の巨木が保護されているそうです。

《散策と運試しの鳥居》
とにかく運動したい私は、散策路があると直ぐに歩いて行ってしまいます。東照宮の主要なところは見て回りましたが、余力があったので滝尾神社というところに続く片道40分の散策コースを歩いて行きました。途中、見るだけで「ゾワッ」とするお地蔵さんや、お狐様もいましたが、覚えているのは「運試しの鳥居」だけです。鳥居の真ん中にある穴に、石を3回投げて1回でも通れば願いが叶うというのですが、石を投げると鳥居が破損するということで、今はご丁寧にスポンジのボールが鳥居の横に10個ぐらい置いてあります。周囲に誰もい居ないのを見計らって童心に返って3回投げてみましたが、一個も通らなかったので「こういうのは運とか願いごととは関係ねんだよ」と言い聞かせて去りました。

《東照宮前のお食事処:きしの》
お昼は、東照宮前のお食事処で湯葉定食を食べました。観光地価格ではありますが、節約の壁を早い内に破り「今回の旅では節約しねーぞ!食べたいものは食べるぜ!!」と自分に対して宣言する意味もありました。この先何千円もするマグロやらウニやらが待っているので、2,300円の湯葉に負ける訳にはいきません。

《13日のドライブ日記》

自宅から日光までは160㎞、2時間半なので意外と近いと思いました。こんなに近いなら、もっと早く行っておけば良かったです。日光では中で食事もしたし、ほとんどの人が行かないような散策路を2時間以上歩いたのですが、それでも時間が余っていたので、その日の内に次の目的地である仙台・石巻地方に向かうことにしました。
日光から石巻までは320㎞で約4時間。誰かと一緒にいると、こういう移動の仕方はできないのですが、一人旅ではやることがなくて時間が余っているのであれば、ゆっくりすることよりも次に行きたいところまで即断即決で駒を進められるのが良いところです。車に布団を積み、車中泊できるようにしてあるので寝る場所も選びません。疲れるまで好きなだけ走ってから好きな所に泊まれば良いので、このスタイルの旅とは相性がいいと思いました。
ちなみに、好きな場所に泊まるといってもほとんどの地域には道の駅があり無料で車を停めて車中泊ができる他、たいていの道の駅は車中泊車を想定して設計されているのでトイレや洗面は充実しています。ちなみにこれ以降の宿泊地は、GoogleMapと相談しながら、コンビニ、ガソリンスタンド、温泉、道の駅が近くに集まっているところを選んで決めていました。
■9月14日(月)
《石巻南浜津波復興祈念公園》
2011年に東北大震災があった当時、いても立っても居られない気持ちが燻り続け、ボランティアをする訳でもなく被災した場所を2、3日掛けて周りました。その後、なかなか再訪する時間が取れず、この地がどうなったのかずっと気になっていたのですが、ようやく再訪することができました。気仙沼で市街地の方まで打ち上げられた大型船は2013年には解体され、街が丸々飲み込まれてしまった石巻南浜は祈念公園となり、広い範囲で植樹がされています。また、ここには慰霊碑が建てられていたり、当時の状況を記した説明板がたくさんありますが、当時の悲しみがそのまま残されている土地という印象です。鎮魂の場とされている通り、当時のことを忘れないようにするための場所なのだと理解しました。祈念公園はとても広く津波伝承館や丘などがありますが、伝承館はお休みだったので、公園内を1時間ぐらい歩いてこの地を後にしました。そうこうしている内に長年の気持ちに整理がついたので、他を回ることなくこの地を後にしました。

《青森県 酸ケ湯温泉》
石巻から一気に恐山まで行ってしまおうと思いましたが、高速に乗ってる時に雨足が強くなってきたので、予定を変更して温泉に行く事にしました。サービスエリアで休憩しながらネットで調べると「青森で温泉と言えば酸ケ湯(すかゆ)温泉は外せない!」「混浴で有名」という説明を見つけたので、そこに向かう事にしました。初めての混浴にやや期待もしましたが、平日の16時頃に入った実態としては男性20人におばあさん1人という感じで、男子的には取れ高ゼロです。尚、混浴と言っても浴場が一つの空間になっているというだけで、上手いこと仕切りが設置されていて浴槽にも仕切りがあります。また、混浴とは別に男女完全に別れた風呂もあり、多くの女性はそちらに入っていると思われます。ちなみに、女性が入ってくるまで待ち伏せする男子をワニというらしいのですが、今回「志高い系の旅人」で行きたかった私は、一人旅の早々からワニになってなど居られないと思い、直ぐにこの場を後にして次の目的地に向かったのでした。

《14日のドライブ日記》
石巻~酸ケ湯温泉間は360㎞5時間想定ですが、途中でサービスエリアに寄ったりしているので実際何時間かかったかは覚えてません。東北地方は関東に比べて田んぼのスケールが大きいなと思いました。ただし、その後に行った北海道の田んぼや畑のスケールは次元が違ったので、細かい事は全部忘れてしまいました。酸ケ湯温泉に行った後、むつ市まで112km2時間の道をドライブしたので、合計で470㎞7時間の運転をしていると思いますが、渋滞は皆無なので快適なドライブができ、あまり疲れた覚えがありません。一般道に出てからの青森の山中は、電波の入らないところが多いので(Rakutenですが)、絶対に事故らないこと、動物にぶつからないように気を付ける必要がありました。

■9月15日(火)
《恐山》

恐れ多くて写真は撮らなかったので、公式サイトから写真を拝借。恐山に近づく道路での運転中と、参拝路から外れた湖畔にある特定の慰霊碑の近くで「ゾワッ」とした感覚や身の毛がよだつ感覚がずっとありました。知人によれば、その感覚があるところは霊の通る場所なのだそうな。実際その場を離れるとゾワッとした感覚もなくなりました。だからその慰霊碑は参拝路から外しているのではないかと思いましたが真偽のほどはわかりません。指定された参拝路もくまなく1時間ぐらい歩きましたが、ちゃんとした参拝路の方ではそういうヤバい感じのする所はありませんでした。ちなみに恐山は死者の魂が集まる霊場とされていてイタコの口寄せでも有名ですが、こうした霊を感じる感覚って五感と同じように人間にはもともと全員に備わってるんじゃないかとも思いました。恐山は霊場ということで、基本は参拝をする場所です。敷地はかなり広く、参拝の順序は決っています。怖さは微塵も感じませんでしたが、特異で異様な場所。「うわ~っ」という感じは何もないのですが、どういう風に異様なのかは実際に行って感じないとわからないと思います。ちなみにイタコは、7月と10月の特定の時期にしか来ませんし、口寄せには予約が必要です。尚、実態として恐山という名前の山はなく釜臥山をはじめとする外輪山に囲まれたカルデラ盆地一帯を総称して恐山と呼んでいます。
《仏ケ浦》

岩を見るとどうしても登る対象かどうかで見てしまいがちなクライマー目線では、「ここに新しいルートを引きたい」、「これは良い岩場になる」という感想以外の出ない特異な形状の岩が並ぶ景勝地でした。この近辺では有名な景勝地ということもあって、船に乗ってやってきた団体が10~20人ぐらいいました。車の場合は駐車場がありますが、駐車場から仏ヶ浦までは徒歩で20分程度で、そこも含めると1時間程度のハイキングという感じになります。ハイキングも含めて楽しむ場所だと思いました。

《青森の山中》
青森の山中には結構猿がいて、ドライブ中に何度も見掛けました。山梨よりも猿が多い印象です。尚、猿は南から北上してきたものの津軽海峡を自力で渡ることができなかったため、青森の下北半島が猿の自然分布の北限となっているらしく、北海道には野生の猿がいません。実際、フェリーで函館に渡ってから突然猿を見掛けなくなるので「あれっ?」って思います。何度も見かけたので、車を降りて写真を撮りました。

《大間のマグロ》
せっかく青森まで来たからには、大間でマグロを食べようと思い、大間崎までやってきました。大間崎はマグロの料理屋が乱立していますが、着いたのが12時半。ネットで口コミ評価が高いお店は軒並み売り切れ閉店となっていました。仕方がないので、評価3.8のお店に入りましたが味はイマイチ。東京月島「三平」のマグロ丼の方が味もボリュームも上。築地市場に近いからでしょうか。大間崎では美味しいのを食べようと思ったら、早めに行った方が良いと思います。ちなみに、大間のマグロは津軽海峡を泳いでいたマグロですが、函館側に水揚げされたマグロは戸井マグロと呼ばれ、函館側でも同じものが食べられます。(※戸井は函館の旧称)
《大間港~函館フェリー》

青森県から函館には、青森港と大間港からフェリーで行くことができます。青森港からだと3時間40分半。大間からだと函館まで90分です。フェリーを使って車で海峡を渡るのは初めてでしたが、ノンストレスで乗れました。海側から眺める北海道は新鮮で、ようやく北海道まで来たかと思うと明るい気持ちになりました。東京が35日間連続雨となった中、今回の旅では天気にも恵まれほとんどの場所で晴れていました。
《函館山》
函館のマックでZoomのミーティングに出席し、その後何しようかと思って調べていると、函館山で夜景が見れることがわかりました。函館山の山頂までは、日中は道路に規制が掛かっていてロープウェイでしか行けませんが、22時を過ぎると規制がなくなり車で山頂に行くことができます。時間もちょうどそれぐらいだったので、これは良いと思い急遽函館山に向かって、山頂から夜景を見てきました。カップルが多かったですが、確かに綺麗な夜景でずっと見ていられます。ただ、風が強くて寒く、ダウンジャケットが必須でした。車に積んでいたので助かりました。写真はネットから拝借。

《15日のドライブ日記》
この日は結構ハードな一日でした。走行距離自体は160㎞と短かったのですが、行く場所が多過ぎました。もともとは恐山と仏ヶ浦と大間に行くことしか考えていませんでしたが、大間のお店でマグロが出て来た際、「20分後に大間港からフェリーが出る」「ここから大間港までは車で8分」という事がわかりました。でてきたマグロがあまり美味しくなかったので、食を味わうことを諦め10分以内に食べてフェリーに突撃することを決めました。道を間違えることなく8分でフェリー乗り場に行き、チケットを買ってギリギリで車ごとフェリーに乗りました。予定してなかった函館に15時についてしまったので、あっちこちと走って周った他、道の駅がかなり離れたところにあったので、結局深夜0時過ぎまで運転していました。函館は夜間に人がおらず、車もほとんど走っていないのが意外でした。

最終的には、道の駅なないろ・ななえhttps://nanairo-nanae.jp/で車中泊。駐車場は半端なく広くて車の収容台数は179台。本州だと考えられない土地の使い方です。
(つづく)


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