フロンティアスピリッツ

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今年に入ってから城ケ崎と二子に1回ずつ行きましたが、とりあえず事故後の自分の状況を岩場でペラペラと話してきただけで、クライミングをすることは全く考えていませんでした。医師からは、コルセットをしている限り何をしても良いという許可が下りていたのですが、結局コルセットをしていると動きづらいので、実質的にはまだクライミングするなと言われているに等しい状況です。

4月の第1週に二子に行ったその翌週は、何かの縁でパンプのN藤さん達からY花に声が掛かり、なんでも次のトポの写真撮影を控え泊りでその調査に行くとかで、Y花は小川山に行くことになっていました。そこに登れない私がくっついて行っても邪魔になるだけだと思い、家で筋トレでもしていようかと思っていたのですが、足腰を鍛えるために金峰山をトレッキングしてもいいかと思い、とりあえず一緒に行くことにしました。

まずは、最初のエリアぐらいはみんなについて行くか…、ということで、LastOneというエリアまで行ったのですが、「トップロープなら登れるんじゃないの?」というみなさんの後押しもあり、念のために持ってきていたクライミングシューズとハーネスを履いて、結局10a~10cまでの3本をトップロープで登ってしまいました。予想外だったのは、終了点で結び変えをした時にしっかり2本のセルフを取っていたにも関わらず、足が震えていたことです。何も怖がる要素がない安定した状況だったのに、体の方は怖がっているのだということがわかりました。

夜は某所にお泊りをして、N藤さんの作ってくれたカレーと人参のスープ、翌日はYカリさんの作った豪華な朝食をご馳走になり、至れり尽くせりです。

特製カレー by (有)フロンティアスピリッツ
豪華な朝食

尚、普段の我が家では、Y花が一日30品目の食材を料理に入れることを課しているのですが、なんとN藤さんは毎日40品目を朝食に入れるようにしているそうです。色々お聞きした話を総合すると、それもこれも全てはクライミングに繋げるためにあるようで、5.12以上の登ったルートが国内だけで730本という結果とこの先は1000本を目指しているという目標設定が、クライミングに対するただならぬ熱意を物語っていました。そして、話を聞いている内にそのクライミングスピリッツが私にも注入されたのか、結局金峰山のトレッキングの話はどこかに飛んでしまい、翌日もみんなについて登りに行ったのでした。

向かった先は八幡沢左岸スラブの「ロリータJUNKO 12A」。

ロリータJUNKOにしがみつくY花

以前に一度やりに来たことがあって敗退していますが、いつかは登りたいと思っていた目標ルートの一本です。ウォーミングアップでやったブラックアンドホワイト10bを、トップロープですら登れない体たらくでしたので、ロリータJUNKOはもちろんお話にならなかったのですが、1日中楽しむことができました。

つい二日前までクライミングは当分やるつもりがなかったのですが、N藤さんと過ごしたことでスイッチが入ってしまったらしく、以前と同じようなモチベーションが再燃してきました。体を治してくれたのは、医者と理学療法士でしたが、クライマーとして復活するための最後のパーツであるクライミング魂を注入してくれたのは、この業界の先頭を走り、道を切り開いてきたクライマーのフロンティアスピリッツだったのでした。

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